ヴァイオレット・エヴァーガーデン」第5話より ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
こんにちは
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がんべあです
今回は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の第5話「人を結ぶ手紙を書くのか?」を13フェイズ分析します
(※ネタバレあります、ご注意を)
ヴァイオレット・エヴァーガーデン第5話の主人公はシャルロッテ・エーベルフレイヤ・ドロッセル王女殿下
ヴァイオレットはシャルロッテ王女の隣国の王子への公開恋文代筆をするために王宮に呼ばれます
今回の主人公はシャルロッテ王女
勝ち気な性格だけど、尽くすタイプ
とっても可愛い王女様
彼女のお話を13フェイズを使って詳しく分析していきます
13フェイズとは?
「13フェイズ」とは「起承転結」とか「序破急」「三幕構成」などと同じく「お話の構成」を表した名称
特徴は「13のフェイズに分かれた構成」
各フェイズで描かれるパターンは決まっています
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の第3話「あなたが、良き自動手記人形になりますように」は、ほぼ13フェイズに従ったお話になっています
13フェイズに沿って話を観ていくと色々な発見があって面白いのです
最初に基本的な13フェイズの流れを確認しましょう
【13フェイズのストーリー構成】
【第1幕】(対立)
①【日常】主人公の日常、抱えている「問題」
②【事件】事件の発生、日常から引き離される
③【決意】新たな状況へ飛び込んでいく決意
【第2幕】(葛藤)
④【苦境】新たな状況での様々な苦境
⑤【助け】苦境に陥った主人公に助けが現れる
⑥【成長・工夫】助けを得た主人公の成長・工夫
⑦【転換】成長による成果、中盤の盛り上がり
ここまでが前半
⑧【試練】後半は助け無し、主人公は単独で試練に立ち向かう事に
⑨【破滅】主人公の頑張りも届かず状況は一層悪化、破滅が襲います
⑩【契機】破滅を乗り越えるきっかけを掴む主人公
【第3幕】(変化)
⑪【対決】敵との最終対決
⑫【排除】敵を排除
⑬【満足】主人公の抱える問題の解決
物語の構成には色々な方法がありますが、「王道の感動」ができるのはなんと言ってもこの13フェイズで創られたお話だと私は思っています
13フェイズでのお話の流れ
【第1幕】
第1フェイズ【日常】
王女様としての生活
しかし本当の自分を見てくれる人は侍女のアルベルタだけ
本当の自分を見てくれる人は誰もいない
シャルロッテ:「私の気持ちなんてどうでもいい…そう思われてるみたいだった」
シャルロッテの問題点は「本当の心を通わせる相手が見つからないこと」
第2フェイズ【事件】
ダミアン王子との出会い
10歳の誕生日、月下の庭園でダミアン王子と出会う
ダミアン「よお
誰も見付けてくれなかったのか?
泣け泣け。もっと泣いていい」
シャルロッテ:「わた、くしは…泣き止みたいの!そんなこと言わないで…」
ダミアン:「宴で見た時、なんて小生意気な子供なんだと思った。こうして泣いていて安心したよ
あんな誕生会最悪だ。俺ですら逃げ出して来たんだ、当の本人なら泣きたくもなるさ」
第3フェイズ【決意】
王子との結婚を決意するシャルロッテ
シャルロッテ:「だから私、この機会を逃してはならないと両国が繋がれば国益となり得る情報を調べ上げたわ
父上や議会にもそれとなく根回しをして…そのせいかは分からないけど、ドロッセルはフリューゲルを選んだ」
【第2幕】
第4フェイズ【苦境】
しかし今現在の王子の本当の気持ちが分からない
シャルロッテ:「私、この婚姻が嬉しくて仕方ないの。だけど…あの方はどうなのかしら。本当は心に決めた方がいらしたのではないのかしら?歳だって十も離れているわ…お話が合わないかもしれない」
第5フェイズ【助け】
ヴァイオレットの助け
ヴァイオレットは自動手記人形として王子宛の素晴しい手紙を書きます
「ダミアン・バルドゥール・フリューゲル様。私がその名前を言葉にするだけでも、こうして文字として表すだけでも心が震えると言ったら貴方はどう思うのでしょうか?
私はこの花の都からあらゆる事柄から貴方を結び付けて溜息を漏らす毎日なのです」
シャルロッテ「お前…恋文上手いじゃないの!」
第6フェイズ【成長】
しかし、シャルロッテは自動手記人形が書く代筆では相手の本当の気持ちが分からない事に気付き、悩みます
アルベルタ「いいえ。あの泣き方はそういうものではありませんね。思い通りにいかない時に見せる泣き顔です」
第7フェイズ【転換】
悩むシャルロッテにヴァイオレットがある提案をします
ヴァイオレット:「シャルロッテ様」
シャルロッテ:「ヴァイオレット…?」
ヴァイオレット:「我々自動手記人形はお客様にとっての代筆のドール。役割以外の仕事は致しません」
ですから…これからする事は私の出過ぎた行為です。弊社C.H.郵便社と無関係とご承知下さい」
シャルロッテ:「なにをする気なの…?」
ヴァイオレット:「貴女の涙を…止めて差し上げたい」
第8フェイズ【試練】
ヴァイオレットの提案、それはお互いに自筆での公開恋文を交換する事
ダミアン:「シャルロッテ・エーベルフレイヤ・ドロッセル様!あの月の夜、白椿の庭での俺のことを覚えていますか?」
「あの手紙、手書きよ!」
「中身もあれだけで一体なんなの?」
「歴史上初の事態よ。どういうこと?」
第9フェイズ【破滅】
お互いの思いがこもった手紙が行き交います
しかし勢い余って強い口調の手紙を送ってしまうシャルロッテ
シャルロッテ:「あんなこと書かなければ良かった!きっと可愛くない生意気な女と思われているに違いないわ…
あー!こんなことならヴァイオレットにすべて任せておけばよかった…アルベルタも止めてくれれば良かったのにー!」
第10フェイズ【契機】
ダミアン王子の返事がきます
アルベルタ:「お返事です」
シャルロッテ:「お返事はなんと?」
アルベルタ:「今宵、月下の庭園で待つ、と」
【第3幕】
第11フェイズ【対決】
月下の庭園でダミアンと直接逢うことに
ダミアン:「おう」
シャルロッテ:「ダミアン様…?」
ダミアン:「返事を持ってきた」
第13フェイズ【満足】
結婚式の準備をするシャルロッテ
育ての親である侍女アルベルタとの会話
アルベルタ:「お綺麗です」
シャルロッテ:「ヴァイオレットにも…婚礼衣装を見て欲しかったわ」
アルベルタ:「もう…不安ではありませんか?」
シャルロッテ:「不安よ…不安だわ。今も本当は泣きそうなの」
アルベルタ:「泣いてはいけません。せっかくの門出に」
シャルロッテ:「ダミアン様の元へ嫁ぎたい…」
アルベルタ:「はい…」
シャルロッテ:「でも…国を離れるのはイヤ」
アルベルタ:「はい」
シャルロッテ:「でも…本当に嫌のは、他の誰でもなく…お前と離れる事なのよ、アルベルタ」
このように13フェイズの流れに沿って主人公であるシャルロッテの物語が進められています
それにしても第9フェイズの「破滅」が軽いですよね
ダミアン王子に本当に見捨てられてしまうくらいの「誤解」があり、そこから逆転、本当の愛を手に入れる流れの方が物語は盛り上がります
しかし敢えてそうはしていません
第9フェイズの「破滅」がとても軽いのは、お話をあまり重くしない為
シリーズが進むと更に重い「破滅」を経験するキャラクター達と出会うことになるヴァイオレットですが、第3話時点ではまだまだ成長し始めたばかり
ヴァイオレットが経験する今後の重い話に備えて、まずは軽めのお話からスタートしている構成なのだと思います
第3話はシャルロッテのお話ですが、同時にヴァイオレットの第6フェイズ「成長」のお話の一部でもあるからです
今回はここまで
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
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