機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) 第12話より ©創通・サンライズ
こんにちは 機動戦士Gundam GQuuuuuuX(以下「ジークアクス」)を見終わって呆然としているがんべあです。
情報山盛り、超絶スピード展開で頭が追い付かないけどなぜか不思議と見やすくとても面白い。
マチュのセリフではありませんが正に「よく分からないけどなんか分かった」様なアニメでした。
ジークアクスのお話はスピードが速く、それに加えて毎回予想できないトンデモ展開をしてきます。しかし「何故かこのお話が分かりやすく理解できる」のには理由があります。
その理由はジークアクスの物語が最初から最後までしっかりとした13フェイズ構成を守っている事。
物語を作る人は是非知っておきたい13フェイズ。
今回はジークアクスのストーリー構造を確認しながら13フェイズの物語構成を学んでいきます。
ジークアクスのストーリー構造
「13フェイズ」と言うのは物語の構成パターンの1つで、以下の流れで作られています。
【第1幕】(対立)
【日常】主人公の日常、抱えている「問題」
【事件】事件の発生、日常から引き離される
【決意】新たな状況へ飛び込んでいく決意
【第2幕】(葛藤)
【苦境】新たな状況での様々な苦境
【助け】苦境に陥った主人公に助けが現れる
【成長・工夫】助けを得た主人公の成長・工夫
【転換】成長による成果、中盤の盛り上がり
ここまでが前半
【試練】後半は助け無し、主人公は単独で試練に立ち向かう事に
【破滅】主人公の頑張りも届かず状況は一層悪化、破滅が襲います
【契機】破滅を乗り越えるきっかけを掴む主人公
【第3幕】(変化)
【対決】敵との最終対決
【排除】敵を排除
【満足】主人公の抱える問題の解決
ジークアクスもこの方法に従って創られています
では13フェイズ理論によってお話を追いかけてみましょう。
【ジークアクスのストーリー展開】
①【日常】主人公の日常、抱えている「問題」
コロニー生まれの主人公 マチュは名門学校に通うお嬢様。コロニーに縛り付けられて本物の地球(重力・空・海)を知らない不自由観を感じている。
マチュの抱える問題点は「自由を感じられない(=本物を知らない)事」。
マチュ:「私たちを地面に押し付けているこの力は 本物の重力じゃない(中略)コロニー生まれの私たちは 本物の重力も 本物の空も知らない」
②【事件】事件の発生、日常から引き離される
ある日、マチュはニャアンと出会い、非合法な密輸品を託される。それをきっかけにマチュはクランバトル(裏)の世界に関わる事になる。
マチュ:「ああっ!!」
③【決意】新たな状況へ飛び込んでいく決意
ジークアクスに乗ってクランバトルに参加する決意。
マチュ:「ならさ クランバトルに出よう 私と一緒に」
④【困難】新たな状況での様々な苦境
戦い方が分からず、新しい環境に戸惑うお嬢さま育ちのマチュ。
マチュ:「何 始まったの 敵は どこ!!(中略)何も見えない シュウジはどこ 何でこんな事になってるんだっけ 私 死ぬ…」
⑤【助け】苦境に陥った主人公に助けが現れる
シュウジがマヴとしてマチュを導き助けてくれる。
シュウジ:「焦らないでマチュ もっと自由になっていい 海を泳ぐ魚みたいに」
⑥【成長】助けを得た主人公の成長・工夫
シュウジの助けによってマチュはニュータイプとして覚醒・成長していく。
コモリ:「これで4勝目 負け無しです」
シャリア:「うーん 素晴らしい このパイロット もうガンダムクァックスを使いこなしている(中略)誰もが使いこなせるものではないんですよ 特にオメガサイコミュはね」
⑦【転換】成長による成果、中盤の盛り上がり
(ここまでが前半)
中盤の盛り上がり(カバード・ピーク)ではサイコガンダム・キケロガが登場。ニュータイプ同士の壮絶な戦いが繰り広げられる。
この闘いが終われば地球(自由=本物)に行く資金が集まる最後のクランバトルでゼクノヴァが発動。
シュウジ(自由=本物)の消失。
※地球とシュウジは「自由=本物」の象徴
マチュ:「ニャ―ンはどこ シュウジは?」
⑧【試練】後半は助け無し、主人公は単独で試練に立ち向かう事に
シュウジ(本物=自由)を追い求めるがなかなか見つからない。
シャリア:「シュウジ イトウは薔薇を見つけて何をしようとしているんですか?」
⑨【破滅】主人公の頑張りも届かず状況は一層悪化、破滅が襲います
ようやく見つけたシュウジ。しかしシュウジは白い悪魔に乗ってこの世界を滅ぼそうとする。
シュウジ:「だから目覚める前の彼女を殺して この宇宙を終わらせる この宇宙をもともと存在しなかったものにする(中略)これ以上 彼女が傷付かないように 僕は彼女の心を守りたいんだ」
⑩【契機】破滅を乗り越えるきっかけを掴む主人公
スマホのメッセージを思い出すマチュ。
⑪【対決】敵との最終対決
⑫【排除】敵を排除
真の敵は「相互理解できない状態」の事。
闘いの中、マチュは敵を排除しシュウジと理解し合う事ができる。
マチュ:「窮屈に生きてきた私は あの日シュウジと出会った こんなキラキラした自由な世界がある事を シュウジは教えてくれたんだ そんなシュウジが自分の心を縛ったりしないで ララァの事が好きなんでしょ(中略)私には分かる ララァはそんな事望んでいない シュウジが守らなくたっていいんだよ(中略)私たちは毎日進化するんだ 明日の私はもっと強くなってやる 誰かに守ってもらう必要なんてない 強いニュータイプに!」
⑬【満足】主人公の抱える問題の解決
地球(本物)の海で海水浴を楽しむマチュとニャアン。シュウジはそこにいないが「いつかまた逢えるとガンダムが言っている」。
ニャアン:「もう地球も来ちゃったし 他に行きたい所なんてないでしょ」
マチュ:「あるよ」
ニャアン:「…まさか シュウちゃんの所?」
マチュ:「いつか また逢えるって ガンダムが言ってる」
機動戦士Gundam GQuuuuuuXの大きなテーマは「自由(本物)」。
アニメ本編で「自由(本物)」と言う言葉が繰り返し表れている事からもそれが分かります。
マチュ:「直径6.4kmのスペースコロニーは 113.5秒に1回回転し 1Gの遠心力を生み出している 私たちを地面に押し付けているこの力は 本物の重力じゃない 空は頭の上じゃなく 足の下にあるんだ コロニー生まれの私たちは 本物の重力も 本物の空も知らない もちろん 本物の海も…」
マチュ:「空って自由ですか?」
ハロ:「ジユウ ジユウ」
シュウジ:「焦らないでマチュ もっと自由になっていい 海を泳ぐ魚みたいに」
ニャアン:「私が合わせなくていい 私の思う通りに 世界が応えてくれる 自由だぁ!」
シャリア:「そんな時です 何の役にも立たない自分を自覚した時 私は初めて自由になれた
マチュ:「自由…」
シャリア:「誰の期待に応える事ができない 何より自分自身の期待にさえ そうなって始めて私には本当の自由が生まれたのです」
ララァ:「宇宙に行けば 私はきっと自由になれる 何でもできるようになるわ」
キシリア:「少しくらいの気持ち悪さがどうした 事が済めばお前を邪魔するものはいなくなり 本物の自由が手に入るのだぞ」
シャリア:「きっと自由の為に傷つく者こそが 本物のニュータイプなのだから」
マチュ:「窮屈に生きてきた私は あの日シュウジと出会った こんなキラキラした自由な世界がある事を シュウジは教えてくれたんだ そんなシュウジが自分の心を縛ったりしないで」
「自由を得る事で本物を手に入れる事ができる」
エニアグラムの話になりますが、これはタイプ7(楽天家)らしい考え方の特徴。
同じくタイプ7である進撃の巨人の主人公エレンも自由を求めその先に真実があると信じて行動していました。
機動戦士Gundam GQuuuuuuXのお話では「自由(本物)」とは「手に入れるもの」では無く、「追い求める自我を持つ事に意義がある」と言う結末が描かれています。
機動戦士Gundam GQuuuuuuXは「マチュが自由の意味を見出す」お話。
13フェイズに従った基本ストーリーがきちんと確立されているので、情報量が多く複雑そうなお話でも解りやすく楽しめるのでしょう。
13フェイズ物語のポイント
13フェイズ構成の物語の特徴は色々ありますが、大きなポイントが3つあります。
【その①】
フェイズ1で「主人公の抱える問題点」を描きフェイズ13ではその問題を解決し「満足」を得る。
これが無いと視聴者は何をゴールとして作品を見て良いか分からず、混乱してしまいます。
ジークアクスはマチュ(主人公)の抱える問題点を最初にしっかりと提示した上でその問題点の解決に向けてストーリーをきちんと進めています。
本編の中では様々なキャラクターに物語のテーマ(マチュの抱える問題点)である「自由(本物)」と言うセリフを繰り返し言わせています。これは視聴者の心がテーマから離れて迷わないようにする道標。これらの演出によってジークアクスは見ていて解りやすい物語となっています。
【その②】
物語前半(第1~7フェイズ)では「主人公を助ける存在」によって主人公は成長するが、物語後半(第8フェイズ以降)ではその助けは得られず、主人公は一人で成長しなくてはならない。
ジークアクスは前半マチュ(主人公)を導いてくれたシュウジが後半いなくなります。
ただし後半のマチュはシュウジに代わってシャリアの助け(導き)によって成長しているのが気になります。本来の13フェイズ構成では後半は誰の助けも無しで主人公が「一人」で目の前の困難に向き合わなくてはなりません。
シャリアの元から離れ、マチュが一人で地球に降りる場面からが本当の後半なのかもしれません。
【その③】
第9フェイズで主人公はどうしようもない破滅を迎えるが第10フェイズで立ち直り、最後の闘い(フェイズ11~12)へと向かう。
物語では「どうしようもない破滅」を演出する手段として、前半主人公を導いてくれた師匠が最後の敵として表れるパターンがよく見られます。
(「シン・ゴジラ」で前半で味方だったアメリカと牧教授が後半一転して敵に回る等)
ジークアクスもこのパターンを周到しており、分かりやすいお話となっています。
また破滅からの立ち直りをするきっかけ(スマホに来た謎のメッセージ)も第1話からきちんと提示されており、唐突感が無いのが実に周到。
この3点を抑えておくと物語が一気に読みやすくなります。知ってると「創作活動」にとっても便利な13フェイズ。
特にその②の「物語前半と後半の助けの有無」については忘れがち。中盤の盛り上がりで前半主人公を助けてくれた存在を衝撃的に無くす事で後半の物語への緊張感が一気に高まります。
興味が出た方はブログの最後に紹介している他の記事も読んでいただけると嬉しいです。
映画公開からTVアニメ完結までの半年間、ジークアクス本当に楽しめました。スタッフの皆様ありがとうございます。
【13フェイズをもっと知りたい方へ】
13フェイズは沼田やすひろ先生の著書「売れるストーリー&キャラクターの作り方」で勉強させてもらいました。
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この記事があなたの「創作活動」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの創作活動が楽しいものになりますように!

























